本日も記事をお読み頂き、ありがとうございます。NavY(@neibiiii)です。
店舗設計をしていると、CADデータの受け渡しをすることが多くあります。交換する先は、テナントの監理や建築工事をされる内装監理室や建築会社。それから内装側の空調や建具、厨房等のプランニングをして頂くメーカー。そして実際に施工をして頂く、施工会社といった感じです。
この多くの会社が、AutoCAD、Jw_cadを使っている印象があります。僕はVectorworksというCADを使っていますが、CADが違えば保存形式も違う分けで、そのままVectorworksの保存データを送っても相手が違うCADであれば開くことができません。
なので、今回は、AutoCAD、Jw_cadで開くことのできる、DXF、DWGという保存形式に変える方法についてご紹介致したいと思います。
※こちらの記事では、Vectorworks2018年度版を使用しています。
目次
VWX、DXF、DWGの保存形式の違いって何?
CADの保存形式には幾つかありますが、僕が一番良く使う形式がVectorworksのVWXという形式です。その他にデータ変換するときに DXF、DWGを使うといいうことがあります。
まずはじめにVWX、DWG、DXFの形式について少し纏めてみました。
●VWXの形式 拡張子は「.vwx」
Vectorworksの保存形式。基本的にVectrworksでのみ開くことが可能です。
●DWGの形式 拡張子は「.dwg」
AutoCAD標準のファイル形式として開発されたもので、Autodeskが策定している形式です。
DWG互換のあるCADソフトで開くことが可能です。
●DXFの形式 拡張子は「.dxf」
Autodesk社がAutoCADの異なるバージョン間に互換性を持たせる為に策定されたファイル形式。DXF互換のあるCADソフトで開くことが可能。Jw_cadで開くことのできる形式でもあります。
見て頂いて分かったと思いますが、DXFであれば、AutoCADとJw_cadの両方で開くことのできるデータということです。精密な図面であれば、AutoCAD標準のファイル形式であるDWGが良いと思いますが、僕と同じように内装設計を行う方であれば、取り出しはDXFで良いと思います。
DXF変換したデータは建築や内装監理室だけでなく、空調や建具メーカーなどにも送ることにもなります。それであれば、なるべくCAD変換も1回に纏めたいですよね。なので、僕はファイル形式に何も指定が無いときはDXFにするようにしています。
それから、データを渡す時はVWX、DWG、DXFのいずれかと、間違いが起きないようにPDFをセットで渡すことが大切です。
DXFのバイナリ、テキストの違いって何?どちらが良いの?
DXFには、テキストとバイナリの2つの種類があります。
テキストは、様々なCADソフトと相互性がある保存方法ですが、バイナリに比べデータ量は大きくなりがちです。一方バイナリは、データサイズが小さくなりますが、AutoCADなどの限られたソフトでしか利用できない形式です。
なので、結論として相互性の高いテキストで保存するのが良いでしょう。
VectorworksでDWG、DXFを取り出す方法

VectorworksでDWG、DXFの取り出しについて説明していきます。まず、「ファイル」→「取り出す」→「DXF/DWG取り出し」→を選択します。

すると「DWG/DXFの取り出し」のダイアログが表示されます。
設定を確認し、OKを押します。
各設定の項目についてについて、下の方に“DXF、DWGの取り出しの設定”という項目部分で纏めています。
設定の説明は結構長くなるので、最終の設定だけを知りたいという方は、そこは飛ばして頂き、最後の方に“僕のDXF/DWGの取り出し設定はこれ”という部分を見て頂ければと思います。

取り出し先を選択するダイアログが表示されるので、保存先を選び「保存」をクリックします。

「取り出し中…」という表示が出てデータが作成されます。
数秒で出来ますが、重いデータの場合は数分掛かることもあります。

データは、フォルダとして作成されます。
フォルダを開くとDXFデータ(AutoCAD図面変換形式)と画像、ハッチングが分かれています。このようにDXF、DWGでは、図面データと画像やハッチングのデータが分かれて作られることになります。
この画像やハッチングデータは.dxf、.dwgデータのリンクデータです。画像やハッチングのデータも一緒になければ図面を開いた際に表示されません。
なので、データを送る際には、このリンクデータ(画像やハッチング)を入れたフォルダごと相手に送ることで、全てが表示できるようになります。
DXF、DWGの取り出しの設定
●「設定」
「設定」の項目では、「デフォルトの設定」「アクティブな設定」の2つと、自分で取り出し設定したものを保存しておき、選ぶことができる部分となります。
こちらはデフォルト設定ではDWGのみの設定となってしまう為、僕はDWGよりDXFでデータの受け渡しが多いのでアクディブな設定にしています。
●「クラス/レイヤマッピング」
取り出しする際にレイヤ名やクラス名を交換したいとき等に使える機能です。
ここは特に設定無しで良いと思います。
●「ファイル形式」
・「形式」
「DXF(テキスト)」「DXF(バイナリ)」「DWG」の3つデータを選択することができます。特に指定が無ければ、「DXF(テキスト)」にしておくと受け渡しに問題が出にくいと思います。
・「バージョン」
DWG、DXFのバージョンを選択することができます。データを渡す相手のソフトにもよりますが、最新バージョンの方が適切に変換できるようです。ただし、受け取り側のCADソフトで開けないバージョンかもしれない為、僕はデフォルト設定と同じ2010にしています。
●「クラス/レイヤ変換」
・「DXF/DWGの画層として:クラスを取り出す or レイヤを取り出す」
これはVectorworksでの作図の作り方にもよりますが、AutoCADの場合においては、開いた際にレイヤとクラスを分けて作業できるようになります。
・「非表示のクラスを:非表示の画層(レイヤ)として取り出す or 取り出さない」
非表示で見えないレイヤを取り出すかを選べる機能です。
このチェックは外しておくのが良いでしょう。
・「同じ名前のクラスは単一の画層(レイヤ)で取り出す」
見えていないクラスをひとつのレイヤとして取り出しするか選べる機能です。このチェックは外しておくのが良いでしょう。
・「レイヤを別々のファイルに取り出す」
レイヤごとにデータが作成されてしまう為、このチェックは外しておくのが良いでしょう。
●「縮尺」
・「レイヤの縮尺を: 1:1」
Vectorworksで作図する場合は11/50や1/100等縮尺を変えて作図することが多いですが、AutoCADの場合においては、作図は1/1で行われるものなので、取り出すレイヤの縮尺については1/1にしておきます。
●「取り出すレイヤ」
ここで、取り出したいレイヤや、登録画面を選択することができます。
シートレイヤや登録画面を作成している場合は、このような項目が表示されます。
「デザインレイヤのみ」
「現在のシートレイヤ」
「すべてのシートレイヤ」
「すべての登録画面」
「登録された登録画面」
●「参照」
・「デザインレイヤビューポートを別々のファイルに取り出す」
チェック入れても外しても変わらなかったので、デフォルトの設定通りチェックを入れたままで良いでしょう。
●「図形」
・「選択されている図形のみを取り出す」
・「平面化した2Dグラフィック(Flattend 2D Graphics)として取り出す」
・「優先設定したクラス属性で取り出す」
この3つの項目は、特に設定不要なので、チェックを外しておいて良いでしょう。
●「文字」
・「取り出し時にマッピングしたフォントを維持」
ここは設定不要なのでチェックを外しておいて良いでしょう。
●「2D」
・「2Dの面を取り出す」
面の色と模様の取り出しを選択できる機能です。
基本的にはチェックは入れたままで良いですが、相手側が見づらいという場合においては、チェックを外して取り出すと良いでしょう。
・イメージとイメージファイルの取り出し
基本的にはチェック入れたままで良いですが、それによりデータが重かったり、相手側から不要なイメージ画像を消して欲しいという要望があれば、チェックを外しておくと良いでしょう。
・ハッチングを取り出す
これも同様に状況に応じてチェック外しておくとよいでしょう。
・ハッチングのパターンファイルを取り出す
これも同様に状況に応じてチェック外しておくとよいでしょう。
・ハッチングと2Dの面を別々のDXF/DWG画層(レイヤ)で取り出す
例えば、床レイヤー内に図形の面とハッチングが合った場合に、それぞれのレイヤを分けた取出しができるという機能です。
レイヤ複雑になるので、チェックを外しておくと良いでしょう。
●「3D」
3Dでデータの受け渡しをDWG、DXFですることは滅多にない為、ここは割愛します。デフォルトの設定通りチェック入れたままで良いでしょう。
●シンボルとグループ
・3Dシンボルとグループを解除
・匿名のブロックとしてグループを取り出す
ここはデフォルトの設定通りチェックを外したままで良いでしょう。
●寸法
・SIA寸法のテキスト表示を保持
寸法規格のSIA寸法を選んでいた場合、取り出し時に上付き書式で維持されるという機能のようです。
ここはデフォルトの設定通りチェックを入れたままで良いでしょう。
●ラインライプ
・ブロックとして複合ラインタイプを取り出す
ここは特に設定するこは無いので、デフォルトの設定通りチェックを入れたままで良いでしょう。
●線の太さと色
・トゥルーカラー(True Colors)を使用
正確に色を取り出しできる機能のようです。デフォルトの設定通りチェックを入れたままで良いでしょう。
・DXF/DWG インデックスカラー(Indexed Colors)を使用
・線の色分け
基本的にトゥルーカラーで問題ないので、デフォルトの設定通りチェックを入れたままで良いでしょう。
作成したDXF、DWGがエラーで開けない時
VectorWorksで作成したDXF、DWGをAutoCAD、Jw_cadで開こうとしたらエラー表示が出て開けないということがあります。
これを解決する方法が2つあります。
1.オブジェクト、シンボル図形を解除。不要な図形を消す。
VectorWorksで作成されたオブジェクト、シンボル図形などが影響でエラーを起こしたりするようです。
解決方法としては、設定の「シンボルとグループ」にある「3Dシンボルとグループ解除」をチェックを入れる。または設定ではなく、図形をグループ解除、シンボル解除、不要な図形を消すことで、開けない問題を解決できる場合があります。
2.DXF、DWGファイル形式のバージョンを変える
前述した内容の繰り返しになりますが、最新バージョンの方が適切に変換できるようですが、受け取り側のCADソフトによっては、開けないバージョンの可能性があります。なので、そんなときはバージョン下げてデータを送ってみると、上手く開ける場合があります。
5分経っても取り出し中…から進まない時
取り出しを始め、5分経っても、ゲージがなかなか進まないことや、止まってしまうなんてことがあります。そんな時は不要なデータを消して軽くした上で再チャレンジしてみると上手くいったりします。
データを軽くする方法のひとつとして、「不要情報消去」ツールを使うという方法もあります。
Vectorworksのファイルサイズを小さくする「不要情報消去」ツールの使い方。
僕のDXF/DWGの取り出し設定はこれ

僕が普段取り出している設定はこんな感じにしています。
余計なレイヤやクラスは表示させないようにしています。データが単純に大きくなるのと、不要な情報はなるべく減らして分かりやすくするようにしています。ご参考にしてみてください。
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