“中国の個人事務所”の設計デザインをした時のプランをご紹介。

2020.6.12
“中国の個人事務所”の設計デザインをした時のプランをご紹介。

本日もNavynotEをお読み頂き、ありがとうございます。NavY(@neibiiii)です。

数年前、中国人の友人からのお誘いで、フリーランスで仕事を請けたことがあります。
今回はそのときの設計デザインについて、少しご紹介したいと思います。

元々、僕は、日本だけでなく中国物件を手掛ける設計会社で働いていて、当時は中国人の張さんという方が先輩がいて、その方に設計のいろはを教わって仕事をしていました。毎日がハードな戦いの日々でした。

数年後にはお互いにその会社は辞めて、別々のところを仕事をすることなったのですが、辞めてからも連絡は取ったりと、今でも仲の良い関係が続いています。

仕事の話は、その張さんから頂きました。「中国で面白い仕事あるからやってみない?」と。そこから小さい中国のオフィスプロジェクトが動きました。





まずはヒアリングから

まず、どんなオーナー様で、どんな事務所が欲しいのか?等々、情報を吸い上げる作業からスタートしました。

オーナーさんは施工会社の方で、今回新しくオフィスを開業したいとのお話で、以下3つの要望がありました。ミーティングスペースが欲しい、スタッフ用のデスク3、4人分欲しい、オーナーの席は窓際に配置して欲しい。

内装空間のデザイン的な要望は一切なく、「まずは何でも良いから提案して欲しい」という、手探りになりそうなところからスタートとなりました。

ファーストプランは、「ストイックに」

まずは、ラフレイアウトとイメージコラージュを作成してみました。

少ない要望での始まりだったので、まずは「こんな感じ?」と相談していく為の序章のプランです。平面ラフレイアウトについては、ほんとうにラフなレイアウト。

入り口を入って正面に壁を作って、会社のサインを見せたらどうか? オーナーが施工業者なので、石やタイルの素材打合せが多いとのことだったので、壁面にタイルの素材を用いた展示をしてはどうか? ミーティングスペースの打合せの場にも、石やタイルの素材を壁面に取り入れて、打ち合わせしやすい場を作ってはどうか?

こんなことを、張さんと相談しながら纏めていきました。

内装のイメージコラージュは、何もお代を頂けなかったので、その時自分がやってみたいと思っていた、海外デザイン資料を提案として乗っけてみました。

お見せするのは控えるのですが、コンセプトは「白とアクセントカラーだけ空間をつくるシンプルなオフィス空間の御提案として、白を基調とした空間は清潔感だけでなく、広さを感じさせます。また、カラーリングはシンプルにアクセントとなるワンポイントカラーのみの、ストイックなオフィスの御提案です。」こんな感じで、色で空間を魅せるような、かなり攻めたデザインをを叩きつけてみました。

会社のテーマカラーで統一された空間は、来客の方により印象的に会社イメージを感じさせることができて良いのでは、と、そんな思いもありました。

セカンドプランは、「日本っぽく」

ファーストプランを提出後に出てきたコメントが、木を使った優しい雰囲気にしたい、そして、日本っぽさを出したいとの要望。

今回、僕(日本人)が設計しているのもあり、日本人に設計を頼むなら、日本らしいコンセプトの事務所にしたい、と、話しが行き着いたようです。

平面ラフレイアウトは手書きと、Photoshopで簡単に纏めています。
スタッフは一人に減り、後は打合せのテーブルのみ。がらっと一気にシンプルな空間になりました。

建物はロフトの2Fも使うことになり、そこはオーナーの寝室となるとのことで、プライベートオフィスみたいな感じに変わりました。

イメージコラージュ写真はでは、木格子や、土間、障子や茶室っぽい要素を取り入れた空間提案を出しました。この2回目のプランで方向性が固まり、温かみのある木という素材を用いながら、日本らしさのある雰囲気を出していく感じにシフトしていきました。

「和」が気に入られた。

2回目のプラン提案で、日本の和の提案がかなり受け入れられ、それを基に、基本図面の作成を進めて行きました。

まずはこちらの平面図。土間の部分も奥へ誘うような、床分けをしています。
土間部分で靴を脱ぎ、上がった先で打合せができる椅子、テーブルがあります。

さらにその奥には、大事な方との打合せができるスペースとして、畳みの個室空間を作っています。

天井の照明は、埋め込みのダウンライト、配線ダクトとスポットライトで雰囲気作りをしながら、地灯りを取るように配置し、中央には意匠的な丸型の和紙で出来たペンダントライトで空間を印象付ける。

個室の天井部分は木工造作で格子を作り、その下にも和紙のペンダントを吊るしています。

展開図で、より空間のイメージが分かると思います。

ELV-Aの部分が、入り口入った正面の壁で、格子状に作られた壁にサインが入っています。

ELV-Bでは壁面部分を木格子で作り、その格子内に打合せで使う石、タイルなどを貼り付けておき、打合せでも使える意匠的な壁として、纏めました。

こちらの展開図で、襖のイメージや、2Fの見え方を纏めています。

特に印象的に見えそうなのは、2Fロフトの襖。

格子状の障子襖に、会社のロゴマークを印字しようという試み。これは張さんの拘りでした。

素材についても、和風の塗装で仕上げるような感じで、全体的に統一感ある空間提案となりました。オーナー様からもこの内容で了解を頂き、プラン完了となりました。

結果としては、残念ながら工事はしないことに決まったようです。完成物を見れないのは凄く残念でしたが、フリーランスで進める初プロジェクトとしては、結構自由にプランが出来たので、凄く楽しい仕事をさせて頂いたと思っています。

フリーランスっていいもんだなと思える、楽しい仕事でした。

今回ご紹介の中出てきた、張さんに会いに中国へ行ったときの記事がこちら。
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